環境ビジネス
持続可能な社会の実現に向け、今の日本には廃棄物に対応した循環だけではなく自然やエネルギーなどを含むすべての資源を効率的に循環する「資源循環型社会」の構築が求められています。その動きの中で注目されているのが環境ビジネス。環境へのさまざまな取り組みの局面ごとに経済的なインセンティブを与え、その波及効果によって持続的な取り組みにしていくことを目的としています。このビジネスが今以上に広がり定着していけば、自然と環境の保全・維持にもつながっていくのです。
現在、環境ビジネスは特定産業から全産業、官需から民需、都市から各地域へと幅広く広がっており、徐々にではありますが市場規模も伸びを見せています。年を追うごとに参入企業も増えており、800以上の商材が扱われるようになりました。地元企業が地域発の環境ビジネスを多数生み出し、その活動を通して事業や雇用の創出、環境保全に一役買っているのも見逃せません。
また、最近はフロン周辺のビジネスも活発化してきています。地球温暖化やオゾン層の破壊に大きな影響を与えているとされるフロン。問題の解決に向けて2015年に施行されたのが「フロン排出抑制法」です。オフィスのエアコンや業務用冷蔵庫などを使っている企業に対し、フロンの漏洩を見逃さないための機器の点検・管理を義務づけています。業務用空調機器のほとんどがフロン排出抑制法の対象なのですが、対象機器のリスト作成や各企業で定めた管理者の目視による簡易点検など、2016年3月の時点で定められた実務をこなせている企業は全体の2~3割ほどでした。
これにはフロン排出抑制法の成立を急いだ政府の準備不足が背景にあります。施行直前のタイミングでしか周知することができず、フロン排出抑制法に関する理解が深まらないうちに2015年度が始まってしまったことで、法改正に必要な担当者や予算が確保できなかったというケースが多いようです。対応の追いつかない企業のため、点検サービスや一括代行サービスを用意している業者が増えています。例えば一般社団法人であるフロン排出抑制機構。こちらで行われている定期点検では、機器の馬力に関係なくすべての業務用機器を数量単価で統一しており、使用機器の多い企業でも安心して依頼できるような料金体系にしています。
21世紀は環境の世紀ともいわれています。この先、環境ビジネスがどのように拡大していくかによって私たちの未来も変わっていくことでしょう。持続可能な社会の実現のためには、やるべきことがまだまだたくさんあります。
« 振付師のコーディネート役割ごとに異なるマテハン機器の特徴や導入のメリットを解説 »